アップグレード¶
アップグレードとは、データベースを古いバージョンからサポートされている新しいバージョン (例: Odoo 16.0 から Odoo 18.0) に移行することを指します。各バージョンには新しい機能、バグ修正、セキュリティパッチが提供されるため、定期的なアップグレードすることが重要です。サポートされているバージョン の使用を強くお勧めします。各メジャーバージョンは3年間サポートされます。
使用するホスティングタイプと Odoo のバージョンによっては、データベースのアップグレードが 必須 となる場合があります。
データベースが メジャーバージョン (例: 16.0、17.0、18.0) の場合、2年ごとにアップグレードが必須となります。
データベースが マイナーバージョン (例:17.1、17.2、17.4) の場合、次のバージョンがリリースされてから数週間後にアップグレードが必須となります。マイナーバージョンは通常、2ヶ月ごとにリリースされます。
最初の3年間のサポート期間終了後、アップグレードを完了させるためにさらに2年間の猶予があります。アップグレードが必要になった際には、お客様に通知されます。

推奨はできませんが、同じバージョンに無期限で留まることも可能です。バージョン間のギャップが小さいほど、アップグレードが簡単なはずです。
必須アップグレードが自動的に実施される数週間前に、データベースに通知が届きます。期限に達していない限り、お客様がプロセスを管理できます。

具体的には、Odooのアップグレードチームが、アップグレードが必要なすべてのデータベースのサイレントテストアップグレードを実行します。テストが成功し、20分未満で完了した場合、データベースから直接アップグレードをトリガできます。テストが失敗した場合、データベースマネジャー を使用してアップグレードをテストできます。
アップグレードの招待を受けた場合は、まず最初に アップグレードされたテストデータベース をリクエストし、テスト に時間をかけることを強くお勧めします。
指定の期日までに何のアクションも取られない場合、次のバージョンへの自動アップグレードがトリガされます。
アップグレードでは以下はカバーされません:
Odooの以前のバージョンへのダウングレード
エディションの切替 (例: コミュニティ版から企業版への変更)
ホスティングタイプの変更 (例: オンプレミスからOdooオンラインへ変更)
他のERPからOdooへのマイグレーション
警告
データベースにカスタムモジュールが含まれている場合、カスタムモジュールのバージョンがOdooのターゲットバージョンに対応するまで、アップグレードできません。カスタムモジュールを独自に管理している顧客には、次の手順を並行して行うことをお勧めします。アップグレードしたデータベースをリクエストする と同時に、カスタムモジュールのソースコード </developer/howtos/upgrade_custom_db> をアップグレード` します。
アップグレードの概要¶
アップグレードされたテストデータベースをリクエストします (参照:
アップグレードされたテストデータベースの取得 <upgrade-request-test>
)必要に応じて、カスタムモジュールのソースコードをOdooの新バージョンと互換性のあるようにアップグレードします( Upgrade a customized database 参照)
アップグレードしたデータベースを徹底的にテストします( データベースの新バージョンのテスト)
テスト中に発生した問題は、Odooに報告して下さい。サポートページにアクセスし、"今後のアップグレードに関連する問題 (アップグレードをテスト中)" を選択します。<https://www.odoo.com/help?stage=migration>`_
すべての問題が解決し、アップグレードしたデータベースが問題なくメインデータベースとして使用できると確信できたら、プロダクトデータベースのアップグレードを計画します。
本番データベースのアップグレードをリクエストすると、処理が完了するまでの間、データベースが利用できなくなります (参照: :ref:`upgrading the production database <upgrade-production> `)
Odooへのアップグレード中に問題が発生した場合は、サポートページにアクセスし、" アップグレード (プロダクト) に関する問題" <https://www.odoo.com/help?stage=post_upgrade>`_ を選択して報告して下さい。
アップグレードされたテストデータベースの取得¶
アップグレードページ は、データベースのアップグレードをリクエストするための主なプラットフォームです。ただし、ホスティングの種類によっては、コマンドライン(オンプレミス)、Odooオンラインの データベースマネジャー、または Odoo.shプロジェクト からアップグレードすることもできます。
注釈
アップグレードプラットフォームは、他のOdoo.comサービスと同じ プライバシーポリシー に従います。Odooによるお客様のデータおよびプライバシーの取り扱いについての詳細は、一般データ保護規則ページ をご覧下さい。
Odooオンラインデータベースは、データベースマネジャー から手動でアップグレードすることができます。
データベースマネジャーは、ユーザアカウントに関連付けられているデータベースをすべて表示します。Odooの最新バージョンではないデータベースは、名前の隣に円の中に矢印のアイコンが表示され、アップグレード可能であることを示します。

円の中に矢印 のアイコンをクリックして、アップグレードプロセスを開始します。ポップアップで、以下の項目を入力します。
アップグレードしたいOdooの バージョン (通常、最新バージョン)
アップグレードされたデータベースへのリンクを受信する Eメール アドレス
アップグレードの 目的 は、最初のアップグレードリクエストの場合、自動的に テスト に設定されます。

アップグレード中 タグは、完了するまでデータベース名の隣に表示されます。処理が完了すると、ご指定のアドレスにアップグレードされたテストデータベースへのリンクを含むEメールが送信されます。データベースは、データベースマネジャーのデータベース名前のドロップダウン矢印をクリックしてアクセスすることもできます。

Odoo.shはアップグレードプラットフォームと統合されており、アップグレードプロセスを簡素化します。

その後、最新の本番 日次自動バックアップ がアップグレードプラットフォームに送信されます。
アップグレードプラットフォームがバックアップのアップグレードを完了し、ブランチにアップロードすると、特別モード になります。ブランチに コミットがプッシュ されるたびに、アップグレードされたバックアップの**復元オペレーション**と、全てのカスタムモジュールのアップデート が実行されます。これにより、アップグレードされたデータベースのクリーンなコピー上でカスタムモジュールをテストすることができます。アップグレードプロセスのログファイルは、新しくアップグレードされたステージングビルドで次の場所から見つけることができます。~/logs/upgrade.log
。
重要
カスタムモジュールがインストールされているデータベースでは、アップグレードを実行する前に、そのソースコードをOdooのターゲットバージョンに最新の状態にしておく必要があります。そうでない場合、 "コミット時にアップグレード" モードがスキップされ、アップグレードプラットフォームから転送されるとすぐにアップグレードされたデータベースが構築され、アップグレードモードが終了します。
詳しくは Upgrade a customized database ページをご覧下さい。
標準のアップグレードプロセスは、データベースがホストされているマシン上で次のコマンドラインを入力することで開始できます。
$ python <(curl -s https://upgrade.odoo.com/upgrade) test -d <your db name> -t <target version>
注釈
このコマンドは、実行環境にいくつかの要件があります:
オペレーティングシステムが提供しなければならないいくつかの外部コマンドで、通常、どのLinuxディストリビューション (WSLを含む) にも含まれています。これらのうち1つまたは複数が見つからない場合はエラーが表示されます。
コマンドを実行するシステムユーザには、データベースへのアクセス権を設定する必要があります。この要件については、PostgreSQLのドキュメント
クライアント環境 <https://www.postgresql.org/docs/current/libpq-envars.html>
またはクライアントパスワードファイル <https://www.postgresql.org/docs/current/libpq-pgpass.html>
を参照して下さい。スクリプトは、アップグレードプラットフォームの1つまたは複数のサーバに、TCPポート443と32768から60999までの範囲の任意のTCPポートの両方で到達できなければなりません。これは、制限のあるファイアウォールと競合する可能性があり、ファイアウォール設定に例外を追加が必要な場合があります。
次のコマンドを使用すると、一般的なヘルプと主なコマンドを表示できます:
$ python <(curl -s https://upgrade.odoo.com/upgrade) --help
アップグレードされたテストデータベースは、`アップグレードページ <https://upgrade.odoo.com>`_からもリクエストできます。
重要
カスタムモジュールがインストールされているデータベースでは、アップグレードを実行する前に、そのソースコードをOdooのターゲットバージョンに更新する必要があります。詳細は、:doc:`/developer/howtos/upgrade_custom_db`ページをご覧下さい。
注釈
セキュリティ上の理由により、アップグレードリクエストを提出した本人のみがダウンロードできます。
保管上の理由から、データベースのコピーはファイルストアなしでアップグレード・サーバに送信されます。そのため、アップグレードされたデータベースには本番ファイルストアは含まれません。
アップグレードされたデータベースをリストアする前に、そのファイルストアを本番ファイルストアにマージし、新バージョンと同じ条件でテストを実行できるようにする必要があります。
アップグレードされたデータベースには以下が含まれます;
アップグレードされたデータベースを含む
dump.sql
ファイルデータベース内のレコードから抽出されたファイル(もしあれば)と、対象の Odooバージョンからの新しい標準 Odoo ファイル(例: 新しい画像、アイコン、決済プロバイダーのロゴなど) を添付ファイルとして格納した
ファイルストア
フォルダ。これは、アップグレードされた完全なファイルストアを取得するために、本番ファイルストアとマージすべきフォルダです。
注釈
アップグレードを複数回テストしたい場合は、複数のテストデータベースをリクエストすることができます。
注釈
アップグレードのリクエストが完了すると、アップグレード完了のEメールにアップグレードレポートが添付され、"管理 / 管理設定" グループに属するユーザはディスカスアプリで利用可能になります。このレポートには、新しいバージョンによって導入された変更に関する重要な情報が記載されています。
データベースの新しいバージョンをテストする¶
アップグレードが有効化された後に、ビューや動作の変更、エラーメッセージによって日々の活動が妨げられないように、アップグレードしたテストデータベースをテストすることが不可欠です。
注釈
テストデータベースは無効化され、一部の機能は本番データベースに影響を与えないよう無効化されています。
スケジュールされたアクションが無効化されます。
送信メールサーバは、既存のものをアーカイブし、偽のものを追加することで無効化されます。
決済プロバイダと配送運送会社はテスト環境にリセットされます。
銀行同期は無効になっています。同期テストをご希望の場合は、銀行同期プロバイダーに連絡してサンドボックス認証情報を取得して下さい。
ビジネスフローが正しく機能していることを確認し、新バージョンに慣れるためにも、可能な限り多くのビジネスフローをテストすることが強く推奨されます。
基本的なテストチェックリスト
テストデータベースでは無効化されているが、本番データベースでは有効化されているビューはありますか?
通常通り正しく表示されていますか?
レポート(顧客請求書、販売オーダなど) は正しく作成されていますか?
ウェブサイトページは正しく表示されていますか?
レコードの作成や変更はできますか?(販売オーダ、顧客請求書、購買、ユーザ、連絡先、会社など)
メールテンプレートに問題はありませんか?
保存した翻訳に問題はありませんか?
検索フィルタはまだ表示されていますか?
データをエクスポートできますか?
ランダムにプロダクトカタログの製品をチェックし、テストデータと生産データを比較して、すべてが同じであることを確認します(製品カテゴリ、販売価格、原価、仕入先、会計、ルートなど)。
このプロダクトを購入(アプリを購買)。
本製品(在庫アプリ)の受信確認。
このプロダクトを受け取るルートが、本番データベース(在庫アプリ)でも同じであるかどうかを確認します。
このプロダクト(セールスアプリ)をランダムな顧客に販売する。
顧客データベース(連絡先アプリ)を開き、顧客(または会社)を選択し、そのデータをチェックします。
プロダクトを配送 (在庫アプリ)。
このプロダクトの出荷ルートが、お客様の本番データベース(在庫アプリ)と同じかどうかを確認します。
顧客請求書の検証(請求書発行アプリまたは会計アプリ)。
顧客請求書へのクレジット(クレジットノートの発行)を行い、それが本番データベースと同様に動作するかを確認します。
レポートの結果を確認します。(会計アプリ)
税額、通貨、銀行口座、会計年度をランダムにチェックします。(会計アプリ)
オンラインでのオーダ(ウェブサイトアプリ)をショップ内のプロダクトセレクションからチェックアウトプロセスまで行い、全て本番データベースと同様に動作するかを確認します。
このリストは全てを網羅するものではありません。Odooの使用状況を基に、他のアプリにもこの例を応用して確認して下さい。
アップグレードしたテストデータベースのテスト中に問題が発生した場合は、Odooの `サポートページで "今後のアップグレードに関する問題(アップグレードのテスト中)" <https://www.odoo.com/help?stage=migration> を選択して`_ 、Odooに支援を依頼することができます。いずれの場合も、本番データベースをアップグレードする前に、テスト中に発生した問題を報告し、修正することが必須です。
テスト中に、標準のビュー、機能、フィールド、モデルと大幅な違いが生じる可能性があります。これらの変更は、ケースバイケースで元に戻すことはできません。しかし、新しいバージョンで導入された変更がカスタマイズを壊した場合、Odooの新しいバージョンと互換性を持たせることは、カスタムモジュールの保守者の責任です。
ちなみに
忘れずに以下をテストして下さい:
外部ソフトウェアとの統合(EDI、APIなど)
異なるアプリ間のワークフロー(eコマースによるオンライン販売、リードを全て販売オーダに変換、プロダクトの配送など)
データエクスポート
自動アクション
フォームビューのアクションメニュー、およびリストビューで複数のレコードを選択した場合のサーバアクション
本番データベースのアップグレード¶
テスト が完了し、アップグレードしたデータベースが問題なくメインのデータベースとして使用できると確信できたら、本番稼働日を計画する時です。
アップグレード中は、本番データベースを利用できなくなります。そのため、データベースの使用が最小限になるタイミングでアップグレードを計画することをお勧めします。
標準のアップグレードスクリプトとデータベースは常に進化しています。アップグレードプロセスが順調であることを確認するため、特にアップグレードに長い時間がかかる場合は、別のアップグレード済みテストデータベースを頻繁にリクエストすることも推奨されます。本番データベースをアップグレードする前日に、アップグレードプロセスを全てリハーサルすることも推奨されます。
重要
テストを行わずに本番稼働すると、以下のような問題が発生する可能性があります:
ユーザが変更や新機能に適応できない
業務中断 (例:アクション検証済の可能性がなくなる)
顧客体験の質の低下 (例: eコマースウェブサイトが正しく機能しない)
本番データベースのアップグレードプロセスは、テストデータベースのアップグレードと類似していますが、いくつかの例外があります。
このプロセスは、アップグレードされたテストデータベースの取得 と同様ですが、目的オプションは、テスト ではなく、本番 に設定する必要があります。
警告
アップグレードがリクエストされると、アップグレードが完了するまでデータベースは利用できなくなります。処理が完了すると、以前のバージョンに戻すことはできなくなります。
プロセスは、本番 ブランチで :ref:`アップグレードされたテストデータベース <upgrade-request-test> ` を取得する手順と似ています。

ブランチ上で新しいコミットが行われると、プロセスが直ちにトリガされます。これにより、アップグレードプロセスをカスタムモジュールのアップグレードされたソースコードのデプロイと同期させることができます。カスタムモジュールがない場合は、アップグレードプロセスが直ちにトリガされます。
重要
このプロセス中はデータベースは利用できません。何らかの問題が発生した場合は、通常の更新と同様に、プラットフォームが自動的にアップグレードを元に戻します。アップグレードが成功した場合は、アップグレード前のデータベースのバックアップが作成されます。
アップグレードプロセス全体を完了するには、カスタムモジュールの更新が成功している必要があります。プロダクトで試す前に、ステージングアップグレードのステータスが 成功 であることを確認して下さい。 カスタムモジュールのアップグレード方法の詳細については、Upgrade a customized database を参照して下さい。
本番用のデータベースをアップグレードするコマンドは、テスト用データベースをアップグレードするコマンドと似ていますが、引数 test
(テスト)を production
(本番)に置き換える必要があります:
$ python <(curl -s https://upgrade.odoo.com/upgrade) production -d <your db name> -t <target version>
アップグレードされた本番データベースは、`アップグレードページ <https://upgrade.odoo.com>`_からもリクエストできます。
データベースがアップロードされた後、プロダクトデータベースへの変更はアップグレードされたデータベースには反映され ません。これが、アップグレードプロセス中は使用しないことをお勧めする理由です。
重要
本番用にアップグレードされたデータベースをリクエストする場合、コピーはファイルストアなしで提出されます。そのため、アップグレードされたデータベースのファイルストアは、新しいバージョンをデプロイする前に、プロダクションのファイルストアとマージする必要があります。
本番データベースに問題が発生した場合は、Odooのサポートページにアクセスし、"アップグレードに関する問題(本番)" を選択して、Odooのサポートを依頼することができます。 <https://www.odoo.com/help?stage=post_upgrade>`_
サービスレベル契約 (SLA)¶
Odoo企業版では、データベースをOdooの最新バージョンにアップグレードする費用は 無料 です。アップグレードしたデータベースに潜在的な不整合が生じた場合の修正に必要なサポートもすべて含まれています。
企業版ライセンスに含まれるアップグレードサービスに関する情報は、Odoo企業版サブスクリプション契約 に記載されていますが、このセクションでは、提供されるアップグレードサービスの内容や期待できるサービス内容を明確に説明します。
SLAでカバーされるアップグレードサービス¶
Odooのクラウドプラットフォーム(OdooオンラインおよびOdoo.sh)または自社ホスティング(オンプレミス)でホストされているデータベースは、常にアップグレードサービスの恩恵を受けることができます:
すべての 標準アプリケーション のアップグレード
スタジオアプリで作成された全てのカスタマイズ のアップグレード(スタジオがインストールされており、それぞれのサブスクリプションが有効化されている場合)
カスタマイズサブスクリプションのメンテナンスでカバーされている全ての開発およびカスタマイズ のアップグレード。
アップグレードサービスは、アップグレードの対象バージョンと互換性を持たせるために、データベース(標準モジュールおよびデータ)の技術設定と適応に限定されます。
SLA対象外のアップグレードサービス¶
次のアップグレード関連サービスは含まれて いません。
アップグレード中の既存のデータと設定の クリーニング。
自社またはサードパーティ(Odooパートナーを含む) が作成した、保守契約の対象外の追加モジュール のアップグレード
アップグレード版の機能とワークフローの トレーニング。