改ざん防止検証レポート

一部の国の税務当局は、企業に**計上した会計仕訳が変更されていないことを証明**することを義務付けています。つまり、一度確定した仕訳は変更できません。

そのため、Odoo は SHA-256 アルゴリズム を使用して、保護された各仕訳に固有のフィンガープリントを作成します。このフィンガープリントはハッシュと呼ばれます。ハッシュは、仕訳の重要なデータ (namedatejournal_idcompany_iddebitcreditaccount_id、および partner_id フィールドの値) を連結し、SHA-256 ハッシュ関数に入力することで生成されます。ハッシュ関数は決定論的 (同じ入力は常に同じ出力を生成する) です。つまり、元のデータを少しでも変更すると、結果のハッシュは完全に変わります。そのため、SHA-256 アルゴリズムは、データの整合性検証などの目的でよく使用されます。

さらに、前の仕訳のハッシュは常に次の仕訳に追加され、ハッシュチェーン が形成されます。これは、2 つの保護された仕訳の間に新しい仕訳が後で追加されないようにするためです。そうすると、ハッシュチェーンが壊れてしまいます。

注釈

SHA-256アルゴリズムで生成されるハッシュは、理論的には一意ではありません。しかし、その数は2²⁵⁶と非常に多く、これは既知の宇宙に存在する原子の数よりもはるかに大きいです。このため、実際にはハッシュは一意であると考えられています。

改ざん防止機能

改ざん防止機能は、任意の仕訳帳で ハッシュによる投稿仕訳のセキュリティ保護 オプションを有効化するか、 記帳済仕訳をハッシュで保護ウィザード を使用することで有効化できます。

  • 仕訳帳のフォームビューに 2 つのインジケータが追加されました。これらは、仕訳がセキュリティで保護されているかどうかを示します。

    • または (ロックアイコン) が 投稿済 ステータスの隣に表示されます。

    • その他情報 タブにある 保護 チェックボックス。

  • 仕訳帳および仕訳項目のリストビューでは、未保護 フィルタを使用できます。まだ保護されていない記帳済の仕訳を検索できます。

  • 会計 メニューに 仕訳保護ウィザード を開くオプションが表示されます。

ハッシュで記帳済の仕訳を保護する

特定の仕訳帳でハッシュ機能を有効化するには、会計 ‣ 設定 ‣ 仕訳帳 に移動します。販売、購買、またはその他仕訳帳を開き、詳細設定 タブに移動して、記帳済仕訳をハッシュで保護 を有効にします。この機能が有効になっている仕訳帳は「制限付き」と呼ばれます。

仕訳のハッシュを計算するために、Odoo はチェーン内の前の仕訳(つまり同じシーケンスプレフィックスを持つ仕訳)を取得し、最後にハッシュされた仕訳から新たにハッシュすべき仕訳までを連続的にハッシュしていきます。

警告

制限付き仕訳帳で仕訳を記帳すると、その機能は無効にできなくなり、保護された仕訳も編集できなくなります。

仕訳保護ウィザード

仕訳保護 ウィザードを使用して、すべての仕訳帳におけるすべての仕訳を、特定の日付まで保護することもできます。

注釈

ウィザードは、仕訳帳の設定や仕訳帳タイプに関係なく動作します。

それを開くには、開発者モード を有効化し、会計 ‣ 会計 へ移動し、仕訳保護 をクリックしてください。改ざん防止機能 が有効化されている場合、デバッグモード以外でも表示されます。

仕訳を保護するには、保護する仕訳の最終日付を選択し、 仕訳保護 を押してください。

警告

仕訳を保護すると、その仕訳は編集できなくなります。

注釈

選択した日付より前の仕訳が保護される場合があります。これは、ハッシュチェーンがシーケンス番号で順序付けられたシーケンスプレフィックスに対応しているためです。

レポートダウンロード

改ざん防止検証レポートをダウンロードするには、 :menuselection:`会計 --> 設定 --> 管理設定 --> レポーティング`に行き、 :guilabel:`改ざん防止検証レポートのダウンロード`をクリックします。

レポートの最初のセクションは、ハッシュ化された仕訳を含むすべての仕訳シーケンスプレフィックスの概要です。制限付き 列では、仕訳に ハッシュ付き仕訳保護 オプション (V) が有効化されているか (X) かどうかを確認できます。確認 列では、すべての仕訳が正しくハッシュ化されているかどうかを確認できます。

2つの仕訳帳の構成レポート

2 番目のセクションには、ハッシュ化された仕訳帳シーケンスプレフィックスごとに、データ整合性チェックの結果が詳細に表示されます。最初のハッシュ化された仕訳とその対応するハッシュ、および最後のハッシュ化された仕訳とその対応するハッシュを表示できます。

仕訳帳のデータ整合性チェックレポート