自動在庫評価¶
会社の在庫の評価には、手元にある在庫の全てが関わってきます。その価値は、会社の会計記録に反映され、会社およびその資産の価値を正確に表示する必要があります。
Odooでは、デフォルトで「定期在庫評価(手動在庫評価とも呼ばれます)」が使用されます。この方法では、経理チームが会社の実地棚卸に基づいて仕訳を手動で記帳し、倉庫担当者が在庫を数える時間を確保する必要があります。Odoo では、各プロダクトカテゴリがこれを反映しており、 原価計算法 は 標準原価 に設定され、在庫評価 (デフォルトでは表示されません) は 手動 に設定されています。

あるいは、継続的在庫評価(自動在庫評価)では、在庫が会社の倉庫に入庫または出庫されるたびに、会計 アプリ上でリアルタイムの 仕訳 が自動作成されます。
本ドキュメントでは、自動在庫評価の正しい設定方法に焦点を当てています。この評価方法は、在庫 アプリでの在庫評価の更新と、会計 アプリの仕訳が常に一致することを保証する、統合された評価方式です。Odooにおける在庫評価の基本的な説明については、在庫評価を使用 のドキュメントを参照して下さい。
設定¶
Odooで自動在庫評価を正しく設定するには、以下の手順に従って下さい。
会計設定¶
自動在庫評価を使用するには、会計 アプリをインストールします。次に、在庫評価 セクションで、自動会計 チェックボックスにチェックを入れます。次に、保存 をクリックします。
に進み、注釈
自動会計 を有効にすると、新たにプロダクトカテゴリの 在庫評価 フィールドが表示されます。

プロダクトカテゴリ設定¶
在庫評価を有効化 したら、次に、自動在庫評価を使用するプロダクトカテゴリを設定して下さい。
在庫評価 セクションで、在庫評価 フィールドを 自動化済 に設定します。 自動在庫評価を使用する全てのプロダクトカテゴリに対して、この手順を繰返します。
に移動し、希望するプロダクトカテゴリを選択します。注釈
自動会計を有効にすると、在庫評価の更新中に作成される各新しい在庫移動レイヤー(SVL)ごとに仕訳が作成されます。

原価計算法¶
在庫評価を有効化 した後、Odooのプロダクトカテゴリで在庫原価を計算し記録するための 原価計算法 が定義されます。
在庫評価 セクションで、適切な 原価計算法 を選択します:
に行き、希望のプロダクトカテゴリを選択します。Odooのデフォルトの原価計算法。プロダクトの原価はプロダクトフォーム上で手動で定義され、この原価は評価額の計算に使用されます。購買オーダ上の購買価格が異なっていたとしても、評価額はプロダクトフォーム上で定義された原価となります。
処理 |
単価 |
手持在庫数 |
入荷金額 |
在庫評価額 |
---|---|---|---|---|
$10 |
0 |
$0 |
||
$10/個で8つのプロダクトを入荷 |
$10 |
8 |
8 * $10 |
$80 |
$16/個で4つのプロダクトを入荷 |
$10 |
12 |
4 * $10 |
$120 |
10プロダクトを配送 |
$10 |
2 |
-10 * $10 |
$20 |
$9/個で2つのプロダクトを入荷 |
$10 |
4 |
2 * $10 |
$40 |
プロダクトの平均原価を基に、在庫総数で割ったプロダクトの評価額を算出します。この原価計算法では、在庫評価は 動的 であり、常にプロダクトの購買価格に基づいて調整されます。
処理 |
単価 |
手持在庫数 |
入荷金額 |
在庫評価額 |
---|---|---|---|---|
$0 |
0 |
$0 |
||
$10/個で8つのプロダクトを入荷 |
$10 |
8 |
8 * $10 |
$80 |
$16/個で4つのプロダクトを入荷 |
$12 |
12 |
4 * $16 |
$144 |
10プロダクトを配送 |
$12 |
2 |
-10 * $12 |
$24 |
$6/個で2つのプロダクトを入荷 |
$9 |
4 |
2 * $6 |
$36 |
各ステップにおける単価と在庫価値の計算方法
4つのプロダクトを1つあたり$16で購入した場合:
在庫価値は、前回の在庫価値と入荷価値を加算することで算出されます。\($80 + (4 * $16) = $144\)
単価は、在庫金額を手持数量で割って算出します: \($144 / 12 = $12\)
10個のプロダクトを納品する際には、プロダクトの購買価格に関わらず、平均単価が在庫価値の算出に使用されます。したがって、在庫価値は \($144 + (-10 * $12) = $24\) です。
各$6で2つのプロダクトを入荷:
在庫価値: \($24 + (2 * $6) = $36\)
単価: \($36 / 4 = $9\)
注釈
原価計算方法 として:guilabel:平均原価 (AVCO)
を選択し、それぞれのプロダクトカテゴリのプロダクトの 原価 フィールドの数値を変更すると、在庫評価 レポートに新しいレコードが作成され、プロダクトの値が調整されます。 原価 の金額は、手元在庫の平均購入価格と検証済の購買オーダから集計されたコストの両方に基づいて自動的に更新されます。
入庫および出庫の原価をリアルタイムで追跡し、プロダクトの実際の価格を使用して評価を変更します。 そのプロダクトのロット全体が販売されるまで、最も古い購買価格が次の販売商品の原価として使用されます。 次の在庫ロットがキューで上位に移動すると、その特定のロットの評価に基づく更新されたプロダクト原価が使用されます。
この方法は、さまざまな理由から、おそらく最も正確な在庫評価方法ですが、入力データや人的ミスの影響を非常に受けやすいという欠点があります。
処理 |
単価 |
手持在庫数 |
入荷金額 |
在庫評価額 |
---|---|---|---|---|
$0 |
0 |
$0 |
||
$10/個で8つのプロダクトを入荷 |
$10 |
8 |
8 * $10 |
$80 |
$16/個で4つのプロダクトを入荷 |
$12 |
12 |
4 * $16 |
$144 |
10プロダクトを配送 |
$16 |
2 |
-8 * $10
-2 * $16
|
$32 |
$6/個で2つのプロダクトを入荷 |
$11 |
4 |
2 * $6 |
$44 |
各ステップにおける単価と在庫価値の計算方法
4つのプロダクトを1つあたり$16で購入した場合:
在庫価値は、前回の在庫価値と入荷価値を加算することで計算されます。\($80 + (4 * $16) = $144\)。
単価は、在庫金額を手持数量で割って算出します: \($144 / 12 = $12\)
10個のプロダクトを納品する際、8個は$10で、2個は$16で購入されました。
まず、入庫値は、手持数量に購買価格を掛けることで算出されます: \((-8 * $10) + (-2 * $16) = -112\) 。
在庫価値は、前回の在庫価値から入庫価値を差引いて計算されます。\($144 - $112 = $32\)。
在庫金額を残りの数量で割ると、単価が算出されます。\($32 / 2 = $16\)。
2つのプロダクトを$6で受け取った場合、在庫価値は \($32 + $12 = $44\) です。 単価は \($44 / 4 = $11\) です。
警告
原価計算法を変更すると、在庫評価に大きな影響を与えます。 調整を行う前に、まず会計士に相談することを強くお勧めします。
参考
原価計算法 が変更された場合、すでに在庫にあるプロダクトで 標準 原価計算法を使用していたものは、値が変更されることは ありません。既存の在庫ユニットは元のままの評価額を保持し、その後の製品移動から平均原価に基づく評価が適用されます。このため、以降はプロダクトのコストが変動するようになります。プロダクトフォームの 原価 フィールドの値が手動で変更した場合、Odoo は 在庫評価 レポートに対応する記録を自動的に生成します。
注釈
異なるプロダクトカテゴリに対して異なる評価設定を使用することが可能です。
会計タイプ¶
自動在庫評価の設定がされている場合、生成される仕訳は、選択した会計モード: 大陸式 または アングロサクソン式 によって異なります。
ちなみに
使用中の会計方式を確認するには、開発者モード を有効化し、 に移動します。
次に、検索... バーで アングロサクソン式会計
を探し、機能が有効になっているかどうかを確認します。有効になって いない 場合は、大陸式 会計モードが使用されています。

アングロサクソン式 会計では、商品の売上原価 (COGS)はプロダクトが販売または納品された時点で計上されます。つまり、プロダクトのコストは顧客に請求書が発行された時点で初めて経費として記録されるということです。
そのため、手動 評価方法の場合は、現在の資産タイプに対して 費用勘定 を 在庫評価 に設定します。自動 評価方法の場合は、費用勘定 を 経費 または 売上原価 タイプ (例: 製造原価、*売上原価*など) に設定します。
大陸法 会計では、プロダクトが在庫として受け取られるとすぐに、その商品の原価が報告されます。このため、費用勘定 は、経費 または 収益原価 タイプのいずれかに設定することができますが、一般的には*経費*勘定に設定されます。
費用勘定¶
手動および自動の在庫評価の両方で使用される 費用勘定 を設定するには、対象のプロダクトカテゴリの 勘定プロパティ セクション ( ) に移動します。次に、費用勘定 ドロップダウンメニューから既存の勘定科目を選択します。
選択したアカウントが適正な タイプ であることを確認するには、アカウントの右にある右矢印アイコンをクリックします。次に、以下の情報に基づいてアカウントタイプを設定します。
費用勘定 には、 費用 または 収益原価 の勘定科目タイプを設定して下さい。
費用勘定 には、 費用 または 収益原価 の勘定科目タイプを設定して下さい。
在庫入荷/出荷 (自動化のみ)¶
在庫入荷勘定 および 在庫出荷勘定 を設定するには、 に行き、希望のプロダクトカテゴリを選択します。
在庫評価 フィールドで、自動 を選択します。 そうすると、勘定科目在庫プロパティ セクションが表示されます。 これらの勘定科目は以下のように定義されています。
在庫評価勘定: プロダクトで自動在庫評価が有効になっている場合、この勘定科目はプロダクトの現在の価値を保持します。
在庫仕訳帳: プロダクトの在庫評価が変更された際に、仕訳が自動的に記帳される会計仕訳帳。
在庫入力勘定: 仕入先から入荷する在庫の移動に関する仕訳帳項目は、仕入先で特定の評価勘定が設定されていない限り、この勘定で計上されます。これは、特定のカテゴリ内の全てのプロダクトのデフォルト値であり、各プロダクトに直接設定することもできます。
在庫出力勘定: 移動先で特定の評価勘定が設定されていない限り、在庫の移動に関する全ての仕訳帳項目は、この勘定で計上されます。これは、特定のカテゴリ内の全てのプロダクトのデフォルト値であり、各プロダクトに直接設定することもできます。
アングロサクソン式会計では、 在庫入庫勘定`と :guilabel:`在庫出庫勘定 は 異なる 流動資産 勘定に設定されます。こうすることで、プロダクトの出荷と顧客への請求によって 在庫出庫勘定 がバランスされ、プロダクトの入荷と仕入先への請求によって 在庫入庫勘定 がバランスされます。
会計の種類を変更するには、在庫の入出力口座の右側にある右矢印アイコンをクリックします。ポップアップウィンドウの タイプ ドロップダウンメニューから 流動資産 を選択します。

在庫インプット 勘定は 入荷済未請求在庫
、流動資産 勘定タイプに設定されています。¶
大陸式会計では、 在庫入力勘定 と 在庫出力勘定 は 同じ 流動資産 勘定に設定されます。そうすることで、商品の売買の際に1つの勘定科目でバランスを取ることができます。
Example
在庫の入力勘定と出力勘定はどちらも 流動資産 勘定タイプである 入荷済未請求在庫
に設定されています。入力会計と出力会計が 同じ 勘定に割当てられる限り、これらは 出庫済未請求在庫
に設定することもできます。

在庫評価レポーティング¶
はじめに 流動資産 明細項目をクリックしてドロップダウンメニューを展開し 在庫評価、 入荷済未請求在庫 と 出庫済未請求在庫 明細を見つけます。
に行きます。ちなみに
ダッシュボードの上部で、時点[日付] ボタンをクリックして、特定の日付までの会計レコードを表示します。

さらに厳密な情報にアクセスするには、希望の仕訳帳の (省略記号) アイコンをクリックして下さい。 総勘定元帳 を選択すると、全ての仕訳帳のリストが表示され、各項目の (省略記号) アイコンをクリックすると 仕訳帳を表示 オプションが表示され、個別の仕訳帳を開くことができます。
さらに、 注釈 を選択し、テキストボックスに記入して 保存 をクリックすると 貸借対照表 に注釈を追加することができます。
